タヒチの美食:ベストレストラン
タヒチの伝統的な食文化は、世界の他の食文化と同様に、何百年もの間、季節の食材や地元の農作物、海の恵みといった食材を最大限活用しながら進化してきました。フレンチポリネシアへの旅行を通じて、美味しい料理に出会うためのアドバイスをお届けします。
独自の保存食
タヒチの食文化は、主食に特徴があります。古代ポリネシア人は、西太平洋で好まれたタロイモやウマラ(サツマイモ)ではなく、パンノキ(ウル)を食べていました。その独自性は、保存方法にも見てとれます。タヒチは湿度が高いため、ニュージーランド(アオテアロア)で行われていたような乾燥手法や塩漬けは行われず、ハワイのような燻製システムもありませんでした。かわりに、古代ポリネシア人は食材を「立てた状態で」保存していました。農作物の輪作だけでなく、養殖場や養魚場もあったため、生産物は比較的新鮮な状態を保つことができましたが、食材確保が困難な時期や収穫サイクルの狭間には「ウル 」のオーブンで食材を発酵させて保存していました。
煮込み料理:伝統的なオーブン
旅行中には、埋め込み式オーブンや有名なahimā'a(アヒマア)での調理を目にする機会があるかもしれません。この調理法は、毎週、人々が集う機会を生み出しました。それが「mā'a Tahiti(マアタヒチ)」です。
mā'a Tahitiは「埋め込み式オーブン」を使った調理方法を指す言葉でもあります。火山石を熱し、石が適切な温度に達したら、野菜や根菜、魚、甲殻類、肉などの食材を様々な種類の葉(バナナやノニなど)で包み、熱した石の上に置き、さらに周りを熱い石や砂で覆います。そしてその後数時間、蒸し焼きにします。ahimā'aの開封は宴の始まりです。その後、料理は大きなテーブルに並べられ人々はこれを分け合って楽しみます。この宴はtāmā'ara'a(タマアラア)と呼ばれています。
多くのホテルや一部のレストランでは、このアクティビティを週末に提供しています。マルケサス諸島でumu kaikai(ウルカイカイ)と呼ばれ、オーストラル諸島ではumu 'ai(ウルカイ)という名前で呼ばれています(母音の前のアポストロフィは「k」のように発音されます)。
イギリスの影響
イギリス人は、フレンチポリネシアに最初に定住したヨーロッパ人でした。彼らは伝統的な果物のタルトや肉のパイといった「パイ類」をタヒチにもたらしました。これらは宣教師たちに好まれ、タヒチの人々に受け入れられていきました。また、po'e(ポエ)というタヒチの伝統的なデザートは、イギリスが起源だと言われています。特に、mei'a(バナナ)を使ったものは、イギリスの有名なプディングが元になっていると言われています。
フランスの影響
1842年、フランスがポマレ4世女王に対して保護領を設定して以来、フランス人はタヒチ島に多く移住しました。フランスの製品や食文化は、タヒチの食材を組み合わさることにより、洗練された料理を生み出しました。その過程において、地元の食材は非常に重要な役割を果たしました。
中国の影響
1865年、南中国から300人の中国人がタヒチに到着し、パパラにあったAtimaono農園で働きはじめました。農園が倒産した後も、一部の人々はタヒチに残ることを選び、その後彼らのコミュニティは新たなメンバーを迎えることで急速に成長しました。彼らはその後も定住し、世界でも名高い中国料理をタヒチに広め、地元の食文化に大きく貢献しました(香辛料や調理法など)。現在では、ベトナムやタイなど東南アジアの他の影響も加わり、チャオメン、ネム、ブション、フォー、タロイモ、カニのフリットなどのアジア料理がタヒチの人々にとって身近な食となっています。
アメリカの影響
1942年、アメリカ軍基地がボラボラ島に設立されました。日本帝国軍によるフレンチポリネシアへの侵攻が懸念されていたためです。アメリカ兵たちは、食事の際、コーンビーフ(地元では「pua’atoro」と呼ばれる)やコーラを楽しんでいました。Raromatai(リーワード諸島) の住民たちは、コーンビーフやコーラがタヒチ島やモーレア島に普及する前からその美味しさを知っていました。近年では、ハンバーガーやピザはタヒチでも絶大な人気を誇り、トレーラーからレストランに至るまで幅広い場所で提供されています。
現代のタヒチ料理
mā'a Tahitiは、フレンチポリネシアの旅行中にぜひ試してほしい食文化です。また、さまざまな種類の魚や、ココナッツミルクでマリネされた生魚を楽しむこともできます。タロの若葉(フレンチポリネシアのほうれん草と呼ばれています)で作ったチキン・ファファや、キャベツとともに調理された豚肉(プアア)、砂の中で葉に包まれて熱調理されたラグーンフィッシュなどもおすすめです。蒸し料理の数々は、食材の風味を引き出します。タロイモやウマラ、サツマイモ、ウフィヤム、キャッサバなどの根菜類をさまざまな調理法で味わったり、島バナナやマーペ(ポリネシアの栗)といった地元の味覚を楽しむのもいいでしょう。マーペは信号の近くで小袋に入れて売られていることがよくあります。食事の終わりには、伝統的な po'e (デザート)があなたをオテラアの木(Badamier)の日陰での昼寝へと誘うでしょう。
フレンチポリネシアの味覚
旅行中に是非味わっていただきたいフレンチポリネシアの味覚をご紹介します
- Kaveuヤシガニ。一部のレストランで提供されています。
- Varoシャコ。(10月末から2月までの漁は禁止されています)ロブスターよりも繊細な味わいだとも言われます。もちろん、甲殻類(エビやロブスター)も絶品です。
- Mā’a tinito アジア、ポリネシア、フランス料理が融合した料理で、1930年代に発明されたレシピが受け継がれています。
- Uru punu pua’atoro 焼いたコーンビーフ、フライドオニオンと共にベイクドしたUru(パンノキ)。
- Vana(地元産のウニ) マルケサス諸島のレモン汁と共に。ビーチで食べることができます。
- Remu vine レモンキャビアに似た食感と南の海を感じさせる塩気が特徴の海藻。「オーストラルキャビア」と呼ばれています。
伝統的なMā’a Tahiti
日曜日には、Mā’a Tahitiを体験してみるのもお勧めです。そこではたくさんの笑顔が溢れ、笑いに包まれた時間を過ごすことでしょう。
Fāfaru(ファファル)という料理は、私たちの島の特産品です。新鮮な魚や貝を、発酵させた淡水エビが入った海水にしばらくの間(数分から数時間)浸して作られています。匂いや味は独特です。ブルーチーズや納豆のように、好き嫌いがはっきりと分かれますが、機会があれば是非トライしてみてください。
旅のガイド:タヒチ島のおすすめレストラン
地元の食材を使用した料理を提供する、味と独自性に優れたおススメレストランをタマア・マガジンと共にセレクトしました。
パペーテのベストレストラン
Hei
ライアテア出身のHeiarii Hoioreと彼のパートナーであるHeimataiki Contiosが、パペーテのパール博物館近くのビーチ沿いでこのレストランを経営しています。新鮮な地元食材と海外からの高級食材を見事に融合させ、独創的な料理の数々を提供しています。その日だけのメニューも提供されており、タヒチ島のベストレストランの1つとも言われています。
Maru Maru
シェフであるTeao Maiariiは、元々、料理人になるつもりはありませんでした。しかし、フランス留学中に進路を変え、シェフになる道を選びました。彼のレストランは美しいマルマルの木陰にあり、幼い頃から親しんできた地元の食材を巧みに使った料理を提供しています。彼のレストランは、間違いなくタヒチ島のベストレストランの1つです。
L’Aubergin’
パペーテの高台、ピックルージュにFabrice Metaisシェフのレストランがあります。このシェフは、伝統的な料理を、驚きのある味わい深い料理へと昇華させることを得意としています。このレストランも、タヒチ島で訪れるべきレストランの1つです。
プナアウイアのベストレストラン
Le Lotus – Intercontinental Tahiti
Intercontinental Tahiti内の有名なレストランで、ラグーンを見渡す2つのロタンダが特徴です。
ここでは、洗練された本格的な料理の数々が現地の食材を使って提供されており、地元の人々の間でも好評を得ています。ミシュラン2つ星シェフであるBruno Ogerの監修によりFranck Davidシェフがリーダーシップを取るこのレストランは、島で最も優れたレストランの1つとして知られています。
パパラのベストレストラン
ルロット(フードトラック屋台) O Tumu Māpe
フードトラックにありがちなジャンクフードとは違う、一風変わったフードトラック。fa'a'apu(菜園)、山、ラグーンの産物を使い、卓越した調理スタイルで料理を提供し、訪れる人を魅了しています。島内観光の途中に立ち寄るにも最適です。
タラヴァオ(タヒチ半島)のベストレストラン
Le Manoa
タラヴァオの楽しいグルメスポット。料理はボリューム満点で、海産物が豊富に使われています。特に暑い季節に訪れる場合は、エアコンが効いた部屋でゆっくり楽しむために、事前予約をおすすめします。
ヴァイラオ(マウイビーチ)のベストレストラン
フランス客船が立ち寄ることでも有名な場所。伝説的な波で有名なチョーポーの少し手前にある、ビーチ沿いの軽食レストランです。ここでは、ジャイアントクラム(tridacna)、ヤギのカレーやエビ料理、そして異なる諸島の伝統料理をシェアスタイルで味わうことができます。