タヒチへのサステナブルな旅 自然環境を守る旅の楽しみ方
「イア・オラナ(こんにちは!) 私はこの旅のガイドを務めるティアレです。
タヒチの島々は、まるで夢のような美しさですよね。人生で最も特別な旅といっても過言ではないタヒチへの旅。快適なフライトを経て到着する楽園での時間、それは何にも代えがたい人生のご褒美のような瞬間です。
皆様がまず降り立つのは、フレンチポリネシアのメインアイランドであるタヒチ島。そこは、大海原に浮かぶ宝石のような島です。フレンチポリネシアには、タヒチ島の他にも、海に抱かれた117の島々や環礁が点在し、大陸から遠く離れたこの海洋地域を形づくっています。
現実とは思えないほど美しい色に輝くターコイズブルーのラグーン、豊かな緑に覆われたなだらかな丘、そして海に浮かぶ珊瑚のリング。こうした魔法のような楽園は、あらゆる脅威とは無縁のように見えるかもしれません。
しかし、実際はそうではないのです。
トンガ出身の作家エペリ・ハウオファ(Epeli Hau’Ofa)がフレンチポリネシアのことを「島々の海」と表現したように、フレンチポリネシアには島々によって成り立つ広大な海の世界が広がっています。ここに広がる5つの諸島群の自然環境は、その隔絶された立地と希少な生態系ゆえに、非常に繊細です
偉大なる海〈モアナ・ヌイ〉の中心に位置するこれらの島々や環礁(タヒチ、モーレア、ボラボラ、ランギロアなど)には、陸においても海においても、貴重で希少、そして傷つきやすい動植物が息づいています。だからこそ、私たちの日々の行動すべてにおいて、自然に対する細やかな配慮が求められています。この美しい島々の未来を守るために、サステナブル・ツーリズムは欠かせないのです。
そこで、旅の計画を立てる際、そして滞在中にさまざまなアクティビティを楽しむ際の指針として、これからご紹介するいくつかのヒントをぜひお読みください。
タヒチへのご旅行前に知っておきたいこと
フレンチポリネシアの島々は、さまざまな脅威や健康リスク(ウイルス、細菌、菌類、昆虫など)から守られています。そのため、フェヌア(国・土地を意味するタヒチ語。マルケサス語ではヘヌア)の海上および空の国境では、常に厳重な管理が行われています。
旅をよりサステナブルなものにするために、観光客である皆様ご自身にも、環境保護に参加する役割と責任があります。
- 植物類について
野菜や果物、種子、植物を持ち込むことは、深刻な健康上の脅威となります。そこに含まれる可能性のある微生物やウイルスは目に見えないほど小さなものですが、島の動植物に壊滅的な被害を与えるおそれがあります。
- 動物由来食品について
原産地や成分が明確に表示されていない加工肉や肉製品を持ち込むことも、同様のリスクがあります。例えば、ドイツやイタリア産の一部の加工肉には豚熱(豚コレラ)を媒介する可能性があるため、国内への持ち込みは禁止されています。
少しでもご不明な点がある場合は、タヒチ・ファアア国際空港到着時に必ず検疫(衛生検査)に申告・相談してください。生態系を守るため、食品を持ち込まない選択が最善となる場合もあります。
生鮮食品や内容物が確認できない食品は、すべて廃棄されます。
• 同様の理由により、フェヌア(タヒチ)以外で生産されたはちみつの持ち込みも禁止されています。フレンチポリネシアには、バロアダニやハチノスツヅリガ、その他の寄生虫が存在していません。この貴重な状況をみなさんで守りましょう。なお、フレンチポリネシアほぼすべての島で高品質な地元産のはちみつを手に入れることができます。
• なお、タヒチの島々をご旅行中は、ぜひ地元ならではの食材や、固有種・伝統的な作物(ウル=パンノキ、サツマイモ、タロイモ、ファファ、フェイバナナなど)、地元で栽培された野菜や果物をお試しください。そうすることで、より現地の魅力を体験することができるでしょう。
伝統食材には素晴らしい物語があります。また、地元産作物はカーボンフットプリント(CO2排出量)が非常に低く、環境にやさしい食材です。
• また、タヒチの島々の海で遊ぶ際やハイキングの際には、サンゴ礁や海洋環境に配慮したエコフレンドリーな日焼け止めを使用することをお願いいたします。
これらの対策は、とても些細なことのように思えるかもしれません。
しかし、タヒチの島々を訪れる年間何十万人もの旅行者の皆様が取る選択肢の積み重ねは、私たちの小さな楽園を守り、尊重するために欠かせないものなのです
マルケサス諸島産のグレープフルーツ(無農薬)、モーレア産のパイナップル(無農薬)、フレンチポリネシアの島々の地元産はちみつ(世界でも屈指の純度)、そして透き通った海に咲くサンゴのバラ。こうしたものを味わったり眺めたりしながら、あなたがフェヌアの環境を守ることに貢献していることを誇りに感じてください。
ご旅行中に役立つ情報もお探しですか?タヒチでは、陸でも海でも、旅行中のちょっとした行動がサステナブル・ツーリズムにつながります。
陸地の動植物について
タヒチの島々を歩き、古代の面影を残す森や遺跡へ続く道をたどると、目の前には魅力的で豊かな自然が広がります。数えきれないほどの香り高い花々、驚くほど大きく個性的な形の葉、人の手や時の流れによって刻まれた石の彫刻。ここでは、自然と文化が他にはない形で共存しています。
この魅惑的な緑の迷宮の中では、鮮やかな色の鳥たちが自由にさえずります。これらの不思議な魅力に触れ、地上の楽園の一部を持ち帰りたくなる気持ちになるかもしれませんが、ここでのルールは「目だけで、周囲のすべてに触れる」ということです。
以下の推奨事項は、一見制約のように思えるかもしれません。しかし、これらの行動は、皆様の後に続く旅行者や地元の人々が、これから先もこのかけがえのない光景を楽しむために必要なアクションです。
環境に配慮した行動
- サステナブル・ツーリズムは、訪れる先の野生生物への配慮も含まれます。森に棲む鳥や、モツ(小島)で巣を作る海鳥などは、すべて大変繊細な野生種です。中には絶滅危惧種もいます。近づきすぎると彼らの命に関わることもあります
- 動物たちの生息環境を乱さず観察してください。近づいたり触れようとしたりすると、動物にストレスを与えてしまいます。写真を撮るときは距離を保ち、フラッシュは使わないようにしましょう。
- もし野生動物(鳥やその他の動物)が危険な状態にあると思われる場合、どんなに小さな動物でも、滞在中の自治体の役所に連絡してください。
- 一部のツアーでは、神聖な青目ウナギやエイ、ブラックチップ・リーフシャークなどを引き寄せるために餌付けが行われることがありますが、こうした餌付けはツアーガイドにより管理されています。
モーレア島のモツ・ティアフラのように、餌をまかなくてもエイが近づいてくる場所もあります。魚にパン(塩分や糖分を多く含むもの)を与えることは、魚の栄養バランスを崩す原因になります。魚たちは、ラグーンでの食事により十分な栄養を取ることができています。
自然環境を保護するために、いくつかのポイントをご紹介します
- タヒチの島々を訪れる際は環境に優しい旅行を楽しむよう努力しましょう。歩行用の道を外れると、繊細な植物や生態系の回復エリア、植林地などを傷つけてしまう可能性があります。同様に、木の周りの地面を踏み固めると土が締まってしまい、水の流れが変わったり、植物の根が水分を十分に呼吸できなくなります。
- 野生の植物や花は大切に扱い、保護しましょう。栽培された花々(プルメリア、タヒチアンティアレ、ブーゲンビリア、ハイビスカス)は至るところで手に入るので、そうしたもので花の装飾やエキゾチックな香りを十分に楽しむことができます。野生の植物はすべてそのままにし、野生での姿を楽しむようにしましょう。樹皮や枝、葉などにも手を触れないようにお願いします。
平均すると、島々のおよそ80%は人の手が入っていないエリアです。もろい岩場に登ったり、許可なくキャンプをしたり、立ち入り禁止の場所で火を起こすことは、いずれも生態系に害を与えます。さらに、私有地は必ずしも標示されているわけではありませんので常に注意を払うことが大切です。わからないことは地元の人や地元に暮らす友人に確認しましょう。
また、自然の豊かさを体験し、現地の生物多様性を学ぶためにツアーガイドを利用することもおすすめです。特に、聖地ではマオヒの伝統を理解するために、ツアーガイドの同行を強くお勧めします。
また、以下の行動もおすすめします。
- ホテルからアクティビティへの移動には、環境に配慮した交通手段(電動自転車、公共交通機関など)を利用しましょう。
- ごみは持ち帰り、他人のごみも拾いましょう(ビーチや自然の中など)。
- リサイクル用ゴミ箱の表示に従いましょう(島では他地域と分別方法が異なります)。
- リサイクルできないプラスチック包装はできるだけ避け、再利用可能な容器(ウォーターボトルやバッグ)を使いましょう。もちろん、新鮮な地元の食材を選ぶこともおすすめです。
- 喫煙する場合は、吸い殻を持ち帰り、密封容器に入れて持ち歩きましょう。
海や水中において
私はこの20年ほど、タヒチの島々や環礁を旅してきました。どこへ行っても、その美しさに心を奪われます。どの景色にも感動しますが、それでも、ボラボラ島を初めて見たときの光景は忘れられません。母貝のように輝くラグーンに心を奪われたのです。それ以来、どこへ行っても海(モアナ・ヌイ)の美しさ、果てしなさ、美しく輝く青、リーフ(アアウ)に立つ白い泡、そしてラグーン(タイロト)のターコイズのグラデーションに心を奪われ続けています。
ここでは、私たちを包み込み心を解きほぐしてくれる水の中で、のんびりとした日々を過ごせるでしょう。ゆったりと水面に浮かんだり、サーフィンをしたり、シュノーケリングを楽しむこともできます。
しかしながら、この海の生態系は非常に繊細です。ここでは、自然を守るための啓発活動とともに、海やラグーンを守るための具体的な取り組みも行われています。
- ラフイ(rāhui):地域社会や関係機関の合意をもとに(または自主的に)、定められた期間、特定の場所の資源利用を一時的に制限すること。
- 海洋教育区域(AME):地元の子どもたちが持続可能な方法で管理する、小規模な沿岸エリア。
- 海洋保護区:法的に定められた規制に基づき、海洋の生物多様性を持続的に保護する区域。
このように守られている自然ではありますが、同時に、皆様の行動は、他の何万人もの旅行者と同じように、環境に大きな影響を与えます。
だからこそ、以下のいくつかのルールやエコフレンドリーな行動を実践することをおすすめします。
- ラグーンでは、フィンやマスクをしてのシュノーケリング、パドルボード、カヤックなどを楽しむ際、サンゴ礁を保護するために細心の注意を払いましょう。サンゴは岩のように見えるかもしれませんが、海に転がる石ではなく、非常に繊細な生物です。サンゴの上を歩くことは禁止されています。
- カヤックやパドルを扱うときは、サンゴ礁にぶつからないよう、慎重に操作しましょう。
- サンゴのかけらを折ったり持ち帰ったりすることは禁止されています。たとえ死んでいるように見えても、サンゴは地球にとって欠かせない生き物で、複雑なライフサイクルを持っています。
また、海の生き物やカラフルな魚たちとの特別な出会いを楽しむための、サステナブルなポイントをご紹介します。
- 生息する環境の中で魚たちが自由に動き回る姿を、距離を保って観察しましょう。
- たとえ一瞬の出会いであっても、その瞬間を楽しみましょう。ウミガメやエイ、イルカ、ラグーンにいる数多くの魚たちは、じっとしているとより興味を示してくれます。
- ラグーンや淡水の川や小川は非常に繊細で化学物質や洗剤などの影響を受けやすいため、シュノーケリング用具は、滞在先や専用の設備で洗いましょう
- 自然への配慮は、荷造りの段階から始まります。できるだけ自然で環境に優しい化粧品を選び、海洋環境に影響の少ないもの(リーフセーフの日焼け止めなど)を使用しましょう
フレンチポリネシアは、ショッピングも楽しむことができる場所です。パペーテの市場や各島の専門店、ホテルなど、さまざまな場所で天然資源を使った工芸品が手に入ります。だからこそ、生物多様性に由来する生物(貝殻、軟体動物、サンゴなど)や無生物(砂、小石、流木、死んだ貝殻など)は、資源を守るために自然の環境にそのまま残しておくことが大切です。
このガイドをもとに、タヒチへのサステナブルな旅を計画し、島々の美しい自然と文化を体験しましょう。ここでご紹介した小さな行動は、サステナブル・ツーリズムへのシンプルで具体的な一歩となります。何よりも、それらは島々の繊細で美しい自然を守ろうとする皆様の姿勢を示すものです。美しい自然を守るための全ての行動に、心より感謝申し上げます。